風の吹く日
2005年10月26日
ふかし芋
メルローばあちゃんは、コンクリート塀が長く続くこの通りで“ふかし芋”を売っ
てる。
朝、コンクリート塀の前に、ちっちゃな木の折りたたみいすを広げてちょこんと
座り、風呂敷を広げて“ふかし芋”を並べる。
この町は貧乏な町だから、あまり売れない。
でも、メルローばあちゃんは、毎日朝から椅子に座って、編み物をしながら“ふ
かし芋”を売ってるんだ。
毎日毎日。
夕方になって、塀の影が長くなると、メルローばあちゃんは、売れ残った“ふか
し芋”と編みかけのセーターを大事そうにかばんにしまって、小さな木の折りた
たみ椅子とかばんを持って、ゆっくり帰っていくんだ。
メルローばあちゃんはどこに住んでいるんだろう。
誰のためにセーターを編んでいるんだろう。
・・・
こんなことを考えていると、ふかし芋が食べたくなってきました。
Nikon D2H, SIGMA 18-50mm f/2.8